『オレオレ詐欺』もどき

ちょっと前だけどまぁまぁ最近の話

部下で家出同然で出奔していた輩がいた

親の反対を押し切って上京し
自分のやりたい道を進む…

微笑ましい話

所が現実世の中はままならないもので
親に胸張って報告できるような仕事に辿り着けない

いつの間にか5年以上『連絡取らず』状態に相成った

彼が今回実家に連絡を取る気になった切っ掛けは知らない(後でわかる)

しかし意を決して電話を掛けた彼に悲劇が襲う
実家の電話が不通なのである…

天涯孤独の恐怖が彼を襲う

やっとこ他県の親戚の屋号をうろ覚えで探し
とっくに引越しをしていた実家の電話番号を聞き出した…


閑話休題

嬉しそうに彼は私の前で携帯の番号を押す

短くも長い沈黙の後
彼は息も付かずに電話の向こうに叫んだ

『かあさん!おれだよオレ!』(どっかで聞いた文句だな)

『オレだってばー』

『元気でやってるよー』
『だからさーオレだってばさ!』

無情にも電話が切られるまで約15秒あまり

その後彼からの電話は『番号拒否』に登録され
2度と通じる事は無かった

数年振りでの息子そっくりな声…
葛藤もあったのでしょうね・・・わかりますよ

でも賢母は基本通りの正しい選択をしましたとさ(涙

官公庁の『オレオレ』対策広報に座布団2枚!


彼はその後不器用に手紙をしたため
親との共通思い出を拙い字で書き綴り
やっとこさ信じて貰って『親族』の末席に戻るのであった



ここまで来ると話の『落ち』は言いたくないのだが…

彼の実家への電話の目的は『金の無心』だった
結局『賢母』は金を払う羽目になったのである


無情