póʊltɚgὰɪst  余話

前出のW君の話
 
『騒擾霊』の件以外にも
泊まりに行った理由があった
 
それは夥しい数の戦時中と思われる写真の束
 
白黒の写真で殆どが真四角の当時モノの
あちこちに笑顔を見せていたのはW君の父親だった
 
戦闘帽で肩を組んで笑っている・・
 
戦友同士であろう2人の後ろには南方特有の植物が茂っている
巨大なローラーが見えるという事は
前線で飛行場を設営している所だろうか
 
・・・?
 
何の変哲も無い写真を訝しく思っていると
W君は黙って拡大した印画紙を差し出した
 
当時の私達と大差無い年齢で笑いかけてくるW君の父
隣の戦友も若々しい・・
 
間に写り込んでいる『顔』も・・
 
慌てて四角く小さな原版を見直した
被写対象の2人の間にはちょっと曇った汚れの様な・・
 
然し拡大した写真には汚れでは無く
紛れも無い人間の顔が浮かび上がっている
 
どう思う?
 
状況から見て
死んだ戦友が写り込んだと見るのが普通だろうね
お父さんは何と?
 
・・・
 
(ああ彼は母子家庭だったっけな・・)
 
写真が趣味となりつつあったW君は
重ねて何枚かの同様の写真を出してきた
 
空襲の後だろうか
焼け落ちた建物の跡地で
何人かが資材を運んだり組み立てている様子・・
 
これも一見何でもないようだが・・?
 
次に部分的に拡大した写真を見ると・・
 
息を呑んだ
 
それは人間達では無いのだ
一応にこちらを見ている人達の両手が角の様に尖って湾曲している
膝から下が無いのに立ってこちらを覗っている者もいる・・
 
その他も『異常』としか思えない写真の数々
 
これはお父さんが『解っていて』遺したものなのかな?
 
・・・
 
写真は『血筋』を物語っていたのであろうか
 
ポルターガイスト』の発生要因の一つとして
多感な思春期の若者の存在を挙げている
 
多感な時期のW君
 
近い存在でもあった異性への強い関心と
父親譲りの霊感の『血統』とがシンクロして歪み
『騒擾』の異常現象を発生させていたとしても
何の不思議があるだろうか
 
 
 
残念なのは件の女の子
 
 
ついに顔を見る機会は無かったな・・
 
 
 
 
 
 
 
(訪問者30000人越えを記念すると共に皆様に心から感謝申上げる次第です)