通勤バスで胸焦がす事 (続編)

以前にこんな事があった・・


意を決した私は
バスに私が乗っている限りは必ず座席を譲るから乗っていらっしゃい・・
と彼女に告げた

然し・・

彼女は無言のままで悲しそうにジッと私を見上げるのみ

親切の押し売りだったのだろうか・・
その後は一か月程彼女の姿を見かける事は無かった

私の後悔心が薄らいで来た或る日
急に彼女は乗車して来た・・

慌てて席を譲る私

悲しそうに頭(かぶり)を振った彼女は
私を宥めて決して座ろうとしなかった

きつかったら必ず言ってね・・

再度着席した私ににこやかに笑ってくれたのだが・・
バスが走り出した途端に崩れ落ちる

あっ!やっぱり駄目です!

直ぐに私は腰を上げ事無きを得た。。

・・・

その後
彼女はバス停から車中を覗き見て
私と目が合ったらにっこり笑って乗り込んで来る

既に私と彼女の「座席のバトンタッチ」は
他の乗客達にとっても特に珍しくない日常となった

駅に着くと
エレベーターを使わなければ移動できない彼女は
私に少し遅れて向かい側のホームに立つ

無理しなくても良いのに
私の真ん前までやって来て
満面の笑顔で私の乗車を見届けてくれる・・

まぁ・・良かったんだろうなぁ・・?

私自身も席を譲って心臓発作で倒れたらシャレにならないので
日々の酒も大幅に抑える様になった次第

「好々爺」への筋道を何となく感じるこの頃です