不思議な事

迷ったけど遺して置こう
 
別に大した事ではない
何せ恐怖は全く感じなかったのだから
 
引越しが決まったのは『X-DAY』より一ヶ月前
ゆるゆると準備が始まるのをウニ(駄犬)は怪訝そうに見ていた
 
何が変わったかって?
大っぴらに吠えるようになった事
 
まるで
どうせ引っ越しちゃうんだもの気にしない!ってな
居直りの態度が妙に人間的で笑ってしまう
 
前出の因縁の『ガジュマル』にも昼間っから真っ向吠える・・
 
それは引越し当日『X-DAY』の事
 
明け方4時前に目が覚めた私は
トイレに入って今日の段取りなりを茫と思い巡らせていた
 
いつも聞きなれた換気扇の音・・
 
微かな歪んだ異音に耳を傾けていたら
それは奇妙に早口な『言い合い』だった
 
絶対的に容積の小さな意思のある生物が
甲高く『一大事』を述べ合っている・・
 
1人?がずーっと熱くなって意見を言っている
嗜めるように度々1人が口を挟む・・
冷静な残り1人が言葉が途絶えた時に尤もな事を述べる・・
 
凡そ15分以上に及んだ『彼らの会議内容』は
それこそ早口なので言っている事ははっきり分からないのだが
どうも
『これからどうしようか?』ってな事らしい
 
(誓って言うが私は『長便』ではない・・)
 
疲れているのかな?
 
頭では思いながら
異質な経験をまるで平然と受け入れている自分を疑ってしまう・・
 
・・・
 
ただそれだけ
 
『直前会議』を行なっていたのが『貧乏神』だったのなら
どうやら一緒に引っ越してきた様子
 
然し『キジムナー』だったのなら・・
 
引越し後ウニはガジュマルに無関心
あれ程『畏怖』していたのに・・
 
下に置いておいたら葉っぱを食っちまった!
 
主が居なきゃ怖くもないさー   なのか?
 
 
然し私が聞いたのは
紛れも無く『悪戯妖精』『貧乏神』のどちらかの声の筈
 
怖くも無いのは
既に私が『棺桶』に近しい年齢だからって事かね?