自販機
夏の盛りは過ぎたので既に『旬』の話ではない
然しこの夏
『件の場所』を何度写真に撮ろうと思ったろうか。。
出勤途中の『古刹』の杜に近く
暗い夜道を何度か曲がると小学校が見えてくる
昼間は子供達の喧騒に溢れているであろうその一画は
日が落ちた途端に全く様相が変わってしまう
小学校の前には広大な畑が広がっている・・
女性に限らず男性さえも
『その一帯』を忌み嫌っているのかと思ってしまうほど人通りが無い
胸を押しつぶしそうな
絶望的な情景を辛うじて救ったのは
正門前に老人ホームが建った事だろうか
夜道を照らす様に自販機が一台設置された
距離感を逸するような夜道に
ちょっとした安堵感が生まれた様に・・ 最初は思った。。
夜勤で出勤する私と逆に
mamaちゃんが夜道を帰ってくる
あの自販機ってちょっとイヤね・・
何が?明るくなって良かったじゃない
うん・・だけどね。。
(ああ成程何かいるんだろうな)
mamaちゃんは霊能者では無いけれど
『何か』がそこにいるのを感じる事が出来る
いつもね・・
自販機の脇に女の人が立っている・・
ふ~ん・・
それからの私は通る度に目を凝らす
そぼ降る雨の夜
霧が当たり前の様に女の姿を浮かび上がらせたとしても
全く驚かずに受け止められるであろう晩も・・
結局無粋な私には霊は現れてくれなかった
デジカメも何度も持っていった
アングルもポジションも何度も確認した
それでも・・
どうしてもシャッターを押せなかった
押さないほうが良い
そのまま知らぬが良い
私の頭の後ろの『何か』が躊躇をさせた
あと一月でそこは通らなくなる
今だって本当は無理に通る必要は無いのだが・・
何かを感じようとしている自分がいる
それとも
もうとっくにシンクロしていて
見えない女性に引き込まれているのだろうか?
まさかね・・