母の戦争体験③ 陸軍中野学校にて

英独語に精通していた母は敗戦直後に進駐軍上級将官達の『陸軍中野学校』視察に通訳として同行。
期せずして同所にあった射撃の標的に将官達が大型拳銃を取り出し打ち始めた。しかし全く当たらない・・
おもむろに母は護身用に持っていた婦人用コルトをバッグから取り出し
5発中4発を命中させた。
驚いた将官達から『貴女はどうしてそんな事が出来るんだ?』と質問が出、
母は『決戦に備えて日本人は子供でもこの位できる』と吹いた。
急に緊張した雰囲気になり将官達は深刻な話し合いを始めた。
話が終わって一人が母に言った
『本土上陸決戦をやっていたらどれだけ米軍死者が出たか思うだけで恐ろしい・・』

(『溜飲を下げるとはこの事ね。でも22口径なんだから当たって当たり前よ』と母・・)