ある兄弟の不思議な因縁

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静岡に在住していた『兄弟の不思議話』


話してくれたのは弟

本人が高校生だった頃だから10年は経っている

ある日古着を買いに原宿まで『ご出張』と相成った

やっぱり地元で目を引くには『原宿発祥』なんでしょうネ

アルバイトで貯めた金を懐に
やって来ました憧れの地

ところがと言うよりやっぱりなのだが
買い過ぎて帰りの電車賃がショートしてしまう・・

焦ってみた所で当然知り合いが近くに居る訳ではない

ふと目に付いたのは『質屋』である

腕にはお気に入りのニコルの時計


今度来た時に・・

預けて電車賃を手にして帰途につくのだが

中々次の『原宿詣』の機会が無い

そうこうしている内に『流れる』期限を過ぎてしまう・・

縁が無かったなァ・・と
ため息を付きつつ数ヶ月を過ごす・・


ある日の事だった


兄貴の腕にまさかのニコルの時計!

それってどうしたの?

弟が聞くと自慢気に兄貴は語った

先日『原宿』に遊びに行った時に
渋谷寄りの外れの『質屋』のウインドーに・・

・・・

この兄弟は過去に互いに関心を持つ事は無かった

弟は兄貴に腕時計は見せた事もないし
質屋に入れて電車賃にしたなんて口が裂けても言えない・・

服の趣味も全く違うのだ

わざわざ原宿まで出向いて弟の因縁の腕時計を購入するなんて・・


兄弟の縁とは不思議なり



それでも結局弟は『秘密』を兄に打ち明ける事は無かった

弟のモノが兄のモノになっただけなのだった・・