上温湯隆さん (冒険家)

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暑いナァ・・これじゃ乾燥死しちまうぜ・・
 
ふと自身で漏らした一言が20年以上前に閉めた引き出しのカギだった
 
かんそうし・・普段使わない語彙は何の事だっけ?
 
乾燥死・・・かみおんゆたかし・・!
 
ユルユルと古い引き出しが開いてくる
 
いきなり自分自身に約束した事柄が現れてくる
 
昔日の流し聞きのラジオ
 
上音湯隆さんが壮絶な乾燥死を遂げて今年で・・
 
サハラ砂漠を駱駝で単身横断しようとして
壮絶な死を遂げた22才の若者の話だ
 
当時は今と違ってnet本流は存在しない
図書館に行っても辞書を紐解いても詳しい事が見えてこない・・
 
いつか必ず・・
 
古びた頭の中の引き出しは当時の不本意の思いの道標
 
恐る恐る『上音湯』と入力
 
ただの無謀な青年というニュアンスもあるが
単独サハラ砂漠横断に挑戦した頃はまだ一㌦360円の時代
朝鮮戦争の特需で日本は高度成長期の夜明け頃
 
目線を海外に向けられた若者がどれだけいた時代だろうか
 
50有余の国を彷徨った彼はサハラ砂漠を愛し壮絶な乾燥死を遂げてしまう・・
 
遺体は国情の関係で母親の元に帰って来たのは9年後
 
彼の冒険を知らない者もいなかった時期は既に過ぎ
有名歌手の捧げる歌や映画やドラマの話も過去の事となっていた
 
そしてまた悲しい終焉
 
折角帰って来たもの言わぬ息子を迎えた母は
たった3ヵ月後に孤独死してしまう・・
 
本作は隆本人の日記が主体
 
然し
 
母親の愛情が後述のコメントとして溢れてくる
 
成年になって初めて声を出して泣いた・・
 
嗚咽をこらえ切れなかった・・
 
この夏私の手元に『昭和の母』の真髄がやって来る
 
まだ読んでもいないのに涙が浮かんでくるのは何故だろうか・・