有閑夕夢

それはそれは昔の話
 

母はたまに変なモノを買って来た

好きでしょ?

買い物籠を持った逆手に抱えていたのは『長物』
よく見たらライフル銃?

古道具屋さんでね・・

本当は古い空気銃のようだがちょっと見た目は立派なライフル銃

私がどっかから手に入れたライフルスコープを
サカリのついた猫に照準を併せてニヤニヤしていたのを知っていたらしい

これがさ・・
入れるものが無いから安くしますって言うからついね(100円)

・・・

所が帰り道でみんな変な顔するのよ

・・・

向こうから歩いてきた若い女の子なんか
いきなり走って逃げちゃって驚いたわ

・・・

そりゃ驚くだろう

夕方の買い物時に買い物籠とライフル銃を抱えた柔和な顔のオバチャン・・

こんな理不尽で怖いモノは無い
私だったら多分後ろも見ないで必死で走って逃げる

頭からオモチャだと思っている母はピンと来ない様子

110番掛けられて大騒ぎにならなかっただけでも良かったんだからね!

・・・  


もうすぐ母の誕生日だ

齢65才で鬼籍に入った母が存命していれば88才だ

親不孝だった私は母との年齢差を詰めながらも
思い返す度に感慨深い・・