バブルの残照① M君の場合

バブルの頃を思い出す・・

度々若い人からバブル時代の話を聞かれる

景気の良かった頃の逸話はまるで信じてもらえない



然し伝説の主人公の彼らは今どうしているのだろうか・・



M君は不動産時代の私の部下

前職は中古マンション販売会社に勤務
バブルの強烈な日差しを一身に受けた寵児の典型だろう・・

私の所へ紹介でやってきた時はバブルは既に斜陽

それでも頑張れば年収1000万も可能なのに
仕事に全く覇気がない

当然営業会社なので頑張らなければ生活が苦しくなる

その日のM君はいつものように給湯室で昼飯のソーメンを茹でている・・


部下のやる気の停滞は店長の私の責任だ

じっくりと話を聞いてみると・・・


彼の前職の収入は月給で手取り600万円!

毎日オネーチャンの店へ飲みに行き30万平均をばら撒いていた

気に入ったオネーチャンの誕生日に
ソアラの新車に大きなリボンを付けて乗りつけ

完全に引いてしまった女の子の

『いらない!』

の一言で同席していた同僚に100万キャッシュで売った事もあったそうな・・

前借は20%までOKだったので
毎月コンスタントに120万を借り入れる有様

経営者が景気の先行きを見込んで計画倒産した瞬間に一文無し

・・・

やる気を出せって言っても無理だよね・・


M君はその後段々と出勤しなくなり

そして行方不明になった・・・


どこかで元気で生きている事を・・


心から祈る次第である・・